ロンドン・マークス&スペンサー店員の日記

純生のイギリス人を語ります。

スーパー店員は見た・その2

これはMarks & SpencerのKensington店、子供服売り場にいた時の事でした。まず、こんな中年の東洋人オヤジをこの売り場に配置した会社の意図に驚きましたが、それは恐らく、人種、性別、年齢差別の排除をモットーとする社風、世の中の風潮から来るものだったと思われます。

さて、ある日の事でした。ロンドンきってのお金持ち地域、Kensingtonに相応しい、いかにも裕福そうな白人の年配女性がガールズ、つまり女児の下着を探していました。しかし、お望みの品が見当たらないらしく、店員を探して辺りを見渡し、最初に僕と目が合いました。が、ところが、怪しい東洋人は助けにならないと思ったのでしょう、僕をさらっとスルーし、少し離れたところにいた白人の店員に声をお掛けになったのです。

しかし、それはマダムの失敗だったとすぐに判明します。何故かと言えば、その店員、イギリスの店員の名に恥じず、あっさりと、「今売り場に出ていないものは在庫にもないわさ」と告げるに留まったのです。確かにその答えに間違いはないのですが。。。

一方、マダムは納得がいきません。とは言え、先程、僕のお助けしますよムード満々の目を否定した手前、声を掛け辛いのでしょう、どうしたものか躊躇する羽目に。

ここで日本的サービスを身上にする僕の出番です。最初の店員がどこかに行ってしまったのを確認した上で、「確かに売り場にないものは在庫にもございませんが、他の店舗に電話して在庫を確認して差し上げましょうか」と伝えました。そしてマダムのお住まいをお伺いして、その最寄りの店、Chelsea店に電話確認。幸運にもそこにはお求めの品がお求めのサイズでありました。更に僕はお取り置きの予約をして差し上げ、あちらの店では僕の名前を告げるだけでOKという手配をしたのです。

あの気取っていたマダム、さすがにこれには感動され、大感謝なさいました。同時に反省もしたはずです。僕はと言えば、何とも清々しく、実は勝ち誇った気持ちがしていました。「見かけで判断してはダメですよ。中身を見るまで偏見は捨てて、広い視野を持ちましょうね」と。